and I'll believe in you until the day I die.

映画とミリタリについて書かなかったり、たまに書いたりする。ドイツでネギとニンニクを食べ続ける実験をしている。

「三体」1~3部読了と感想

先日、「三体 死神永生」を読み終えた。

まだ「三体 0」と外伝の「三体 X」は読んでないけど、とりあえず本編は読み終えた。

 

長かった…

 

総合的にはめちゃくちゃ面白いんだけどね。

純粋に文章量が多いというのもあるが、このシリーズは物語が見えるまでにめちゃくちゃ時間がかかるというのもある。

だから、「今読んでるのは何の話なんだ???」みたいなパートが序盤は結構あり、読み進める速度にバラツキが出るのである。

「死神永生」においては、最初のエルサレムの話であり、三体人が作った黄河が舞台の映画の話とかである。

いや、黄河の映画は、その後の程心(チェンシン)と雲天明(ユンティエンミン)の運命を示唆しているし、三体文明の地球への融和政策を描写する一環で出てくるからいいけど、上巻冒頭のエルサレムの話はその現象を読者が解明するのは下巻の後半になってからだし、物語の中では全く触れられることないからな。

 

というわけで、一つずつ簡単な感想。

あ、ネタバレ関係なく、みんな読んでる体です。読書感想文なので。

 

「三体」

過去パートは歴史SFで現代はSFサスペンス。

全てはここから始まった…けど、繰り返しこればっか映像化されてるので、個人的に若干飽きてる。作中のVRゲーム「三体」がよく褒められているが、ゲーマー的にはゲームルールが明確でないため、そこがノイズとなり、それ自体が面白いとはあまり思えなかった。三体世界の描写は面白いんだけどね。

あと、自分は中国の歴史も何もほとんど門外漢なので、ドラマでも小説でも過去パートやよく分からない地名や料理が出てくるところが興味深くて、最近は友達と中華料理や過去の中国文化をよく漁るようになった。

 

「三体II 黒暗森林」

今度は戦争だ!

上巻は、羅輯(ルオジー)ら国連によって選出された三体文明と頭脳と策略で戦う面壁者と三体文明に忠誠を誓う人間、破壁者の頭脳バトルだが、下巻の未来パートからは宇宙戦争SFへと様相を一気に変える。

俺はこの宇宙戦争準備SFと宇宙戦争SFなところが物凄く好きで、この第2部を一番評価してる。

黒暗森林理論に基づいて、広大な宇宙における安全保障を確立するオチも、壮大なスケールで度肝を抜きつつ、その思想自体は現実世界に落とし込めるという絶妙な塩梅も何ともSFっぽくて好きだ。

また、小説の内容とは別に驚いたのは、終末決戦におけるそのスピード感溢れる筆致。

第1部、第2部も、それまで割かし静かで知的なSFという感じで書かれてきたのに、終末決戦が始まった途端に、文章が一気に躍動感に満ち満ちたものになる。

まぁ、これは訳者や編集の力なのかもしれないけど、この変化に驚きつつめちゃくちゃ楽しめた。

というわけで、俺は「黒暗森林」が一番好き。

 

「三体III 死神永生」

Twitter読書メーターでも既に言っているが、「三体」がSFサスペンス、「黒暗森林」が宇宙戦争SFなら、この「死神永生」はコズミックホラーだよ。

物語は「ミスト」であり、「火の鳥」であり、「2001 夜物語」内の1エピソード「愛に時間を」なんだけど、とにかくこの「三体」宇宙の規模的にも時間的にもデカ過ぎるスケールの話が展開される。

この宇宙には人智を超えた技術と歴史と規模と宇宙的倫理観を持つ文明が存在し、それらの戦争の影で、地球文明や三体文明のような「弱い」文明は宇宙が終わるその日まで身を隠し続けるしかない…

これはもうコズミックホラーだろ。

ラブクラフトが望んだものかは分からんけど。

まぁ、とにかく、規模感が凄い。そのあまりのスケールの話に、第2部までの三体シリーズを含め今までの全てのSFがちっぽけに見えてしまうほど。

…一方でこの「死神永生」は今まで一番物語のペース配分というか展開の重みが偏っている。

最後など、明らかに作者がSF描写に夢中になりすぎて登場人物たちの人生が隅に追いやられている。

物語のペース配分が偏ってるのは「三体」シリーズ全てにおける特徴ではあるし、数百万の文明が宇宙で生き残り宇宙の時間的果てに行き着いくスケールの物語において個人などというのはあまりにもちっぽけなものだけどさ。

文字通り宇宙と時間を跨いだ関係を築いてきた程心と雲天明らの最後の心理描写くらいもうちょっとやってくれても…と思った。

 

そういうところも含めて、まさに「愛に時間を」なのであった。

みんなで観よう「恐竜・怪鳥の伝説」(期間限定)

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東映YouTubeの公式チャンネルで期間限定で「恐竜・怪鳥の伝説」という映画を公開しているので、みんな観てくれ。

本当にどうしょーもない映画で、マジでキツイんだけど、俺はみんなと苦しみを分かち合いたい。

 

因みにどんな感じの映画かというと、かってに改蔵の「1日署長vs二日酔いvs三日坊主による伝説の三つ巴の戦い!勝ったのは乱入して来たぼくらの七日間戦争でした…」みたいな感じなので、倫理とか論理とかに関して俺に文句を言わないで欲しい。

 

病いごとほど分け合いたいじゃない。

Tag der Bundeswehr 2023【告知】

 梅雨だ! 6月だ! TdBwだ!

日本に戻ってはや2年目。普通にサラリーマンやってます。現在絶賛繁忙期につき、直前までブログを更新できなかったけど、今年もやります!TdBw!

 

6月17日(土) !

多分ネットストリーミングもあるからYouTube開いて待機だ!

 

実は去年もオンラインではなく、ちゃんとやってたんだけど、告知をすっかり忘れてました。この時期、普通に忙しいな?

 

Tag der Bundeswehr 2023

 

公式サイトはこちら↑

 

今年は10箇所の駐屯地で開催予定。

コロナ禍前には16箇所くらいあった開催会場減ってるやんけ… コロナとロシア許せねえな。

マインツ周辺の駐屯地は完全に沈黙。もしドイツにいたとしても実地に行けたか分からんね。

 

もう寝なきゃいけないので、とりあえずここまで。

時間あったら当日まで少しずつ追記します。

 

 

当日の、しかも開始5分前になっちゃった!

www.youtube.com

 

日本時間1800時から上記のチャンネルでライブストリーミングやるみたいです!

ファスト映画への私見:誰が一番のクソ野郎か

今更だが、ファスト映画に関する私見を述べておく。

いや、ファスト映画そのものというよりは、ファスト映画製作者逮捕によって明確になった映画に関係する人間に対する私見というのが正しい。 

 

長いのでお品書き

 

ファスト映画観ていない

まず言ってしまうと、僕はファスト映画系動画を観ていない。観ていないし、日本のニュースで取り上げられて始めて、そういう界隈があることを知ったし、逆に一つくらい観てやろう、と思った時には軒並み削除されていて観られなかった。

何故、暇な時間はずっとYouTubeを流すタイプでYouTubeで映画のトレイラーやレニューをチェックする人間である僕がファスト映画を観ていないのか。

答えは簡単だ。今までYouTubeのオススメには度々出て来ていたが、あんなセンスの無い、つまらなそうな動画、観る気にならなかったからだ。だから、表示されるたびにブロックしてきた。こんなセンスの無いものを作るやつも、それを楽しみにするやつもそもそもの美意識のレベルが低すぎるだろ。今まで美しいものや面白いものに触れてこなかったのか?何か理由があって義務教育を受けられなかったのか?日本の義務教育には美術も国語もあるというのに、かわいそうに。

 

誰が一番クソ野郎か

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今回の逮捕されたファスト映画動画製作者らを、仙台地検著作権法違反の罪で起訴した。具体的に当該動画のどこを著作権法違反とするのかは、報道からはまだ分からないが、順当に考えて最も明白で簡単そうな、引用に該当しない画像や動画の無断使用だろう。いずれにせよ、この逮捕者らが犯罪行為を行ったことは間違いなさそうだ。

 

が、ここで僕が論じたいのは法律の話じゃあない。

 

正直に結論から言おう。このファスト映画問題に関係する連中、被害者ヅラ(というか実際法律的には被害者なのだが)してるやつらまで全員映画に対する態度のなっていない、クソ野郎だと思う。

というか、ファスト映画製作者なんてのは、僕がこの問題のクソ野郎リストを作ったら下から数えた方が早いだろう。

もう一度言うが、ここでは法律問題は論じず、とにかく僕が気に入らない関係者を順に殴っていくこととする。

 

ネタバレ・オチ・「ストーリーを全部言ってしまう」問題

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これはANN newがトレバズでファスト映画問題をとりあげた時のもの。

 

まず気に喰わないのは、のっけからこのナレーターらスタジオの人たちが「結論まで含めて」と映画のストーリーのオチを異様に重視していることだ。

ワイプで見えている人たちもオチを明かされることに対して非常に大きく反応している。男性に至ってはネタバレを「許せない」とし、「結末がわかれば観客減」という情報に対して「そりゃそうですよ」とまで言っている。

僕はお前みたいなやつが一番嫌いだ。

というか、その後「映画って、間とか表情とかBGMとか全てで感じ楽しむもの」というナレーターの意見に対し「まぁそう…」と相槌を打っている。

おい、スジが通ってねえだろうがよお。

 

まず、映画のストーリーを明かされることの違法性が僕にはよく分からない。

Wikipediaの映画作品のページにも、(日本語版は広告代理店気取りのキッズによって書かれた映画チラシみたいな「〇〇の運命はいかに−」と書かれていることが多かったが)映画作品のオチを含めたストーリーは大抵ガッツリ書いてある。次に殴るべきはWikipediaなのだろうか。

 

そもそも映画のストーリーとそのごく一部である「オチ」に「映画の価値」があるのだろうか。

勿論無い。無い、と僕は信じている。映画のストーリーにはストーリーの価値しかなく、オチにはオチの価値しかない

映画を総合芸術として扱っておきながら、ある一点を異常に重視するのは矛盾している。映画のレビュアーや紹介がネタバレに配慮するのは本来、人があることを知ってしまうことには復元性が無く、本人の意思を無視して(映画を観なくても得られる)映画の一部の情報を知ってしまうことで本人の望む状態での視聴ができなくなる可能性があるからであるはずだ。決して、映画のオチが映画の持つ価値の中で一番偉くて他はカスだからと言うわけではない。

まずここが理解できてないやつは死刑だ!(淀川長治)

 

オチ信仰は確かにある。作ったのは誰だ?

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覚えている人はいるだろうか。スティーブンキング原作の映画「ミスト」の日本版予告編を。

「ラスト〇〇分の衝撃」というクソみたいなキャッチフレーズは、一時期予告編の定番の文言として流行っていたのだ。今でこそこのフレーズは鳴りを潜めたが、この頃はありふれたものだった。

勿論この予告編を作っているのは、ファスト映画の製作者などではない。金を払って映画を作らせたり調達してきて日本で売り出すことにした配給会社と彼らが予告編制作を依頼した広告代理店ら広告業界である。

映画制作会社も映画配給会社も映画館も配信サービス会社も、観客となりうる人々にその映画に対して、実際に映画館に足を運んだり配信サービスを利用してもらうだけの強い興味を持ってもらわなければならないと思っている。実際に金を払って映画を観てもらって初めて利益が生まれるのだから当然である。しかも、週一や週二で映画館に通ったり既に観た映画のDVDを買い集める僕らみたいな人間は割合で言えばごく少数で、世界の大半を占める「普段は映画にそこまで興味のない層」を動員する必要がある。だからこそ、このような一点突破のキャッチフレーズを多用したのだろう。

しかしこの予告編から分かるように、僕はある時期からこの業界は客の育て方、要は一般的な映画視聴者を釣る方法を誤ったのだと思う。

かつて、TV番組「日曜洋画劇場」で解説を務めた淀川長治さんは、映画が始まる前の説明で映画のオチや名場面を含めて説明していた。それはオチに映画全体の価値を見出さない、映画に対して真摯な姿勢であったと僕は思う。ある時Twitterで、それがさも問題であるかのようにプチバズったことがあったが、問題なのはオメーの頭だ。

 

 

クワイエットプレイス2。 映画は誰の体験か

このファスト映画問題が逮捕者が出たことによってクローズアップされ、世間を騒がせたのはすでに先月末の話だ。なんで今更になって僕が上記のような私怨をツラツラと書いているのか、それは怒りも少し収まったかと思う頃になって全く他の方向からぶん殴られたからだ。

この問題の根深さを再認識させ、僕の怒りを掘り起こしたのは「クワイエットプレイス2」の日本のTwitterアカウントが投稿した「宣伝」だ。

 「映画は総合芸術」であり、オチにはオチの価値しかないと僕の意見を述べてきた。「映画は芸術以前にエンタメだろ!」という意見もあろうが、エンターテイメントと芸術の境界は曖昧だ。美術館で絵画や彫刻を鑑賞したり自分で作品を作り出すという芸術性の高いことが時間を潰す手段としても何より楽しいという人もいれば、ディズニーランドのようなエンタメ性の高い場所の美術を見て回る人もいる。

とにかく、映画が芸術である以上、その体験は個人のものだ。みんながどう、ではなく、映画体験自体は個人に帰する。ディズニーランドにみんなで行ったのがどんなに楽しくてもその中の一瞬一瞬で思った気持ちは自分だけのものであるように、ある映画作品がどんな評判であっても実際に観た感想と体験は視聴者個人のものだ。

 

それがヨオ!オイ!このCMはスジが通ってねえだろうがヨオ!!!

 

このCMの、この映画で「驚くところ」「怖がるところ」「こんな感想を抱こう!」という懇切丁寧に集団意識的な体験としての映画を推していく、この作り!

このCMを作ったやつは死刑だ!(淀川長治)

僕個人的としても虫唾が走る。勿論、映画を観る上でも「モデル読者」としての感性は必要である。だが、このCMはどう考えてもモデル読者を育成するものではなく、映画鑑賞をある特定の決まった反応をある決まった場面で起こせばいいと、映画鑑賞、映画体験を単純化している。結局、総合芸術としての映画を鑑賞することに興味なんか無く、映画の特定の要素だけを知っていればいいという、ファスト映画愛好家を育てているだけではないか。

 

 

www.jiji.com

時事ドットコムのこの記事において、電通メディアイノベーションラボの天野彬主任研究員は

「今は処理し切れないほど多くのコンテンツが身の回りにあふれている時代。人々は限られた余暇をどれだけ効率よく楽しむかという『タイムパフォーマンスの良さ』を重視している」

とし

「面白くない映画にお金と時間を消費するくらいなら、無料のファスト映画をたくさん視聴した方が得だという心理が背景にある」と分析

と述べているが、まさに映画を売る連中がそういった視聴者を育てている、と僕は思うわけだ。しかし、この分析をしているのが広告代理店最大手の電通なんだから皮肉なもんだ。

 

YouTubeくんクソ野郎問題

ここまで様々な関係者を殴ってきたが、今一番たくさん殴りたいのはYouTubeだ。お前が一番気に喰わない。

何故か…何故か何故か全く不思議なことに、著作権の有効な映画作品の映像や画像を勝手に「引用の例外」に該当しない方法で使用した違法性の高い動画をサーバーに保存し色々なユーザーにオススメとして視聴を誘導しそして広告費で儲けた金の一部を実際にファスト映画動画投稿者に渡しているYouTubeくんは、全くと言っていいほど批判の対象になっていない。既にこの場に引用したマスメディアの記事でもニュースでも、YouTubeは全く批判されていないし、あまつさえ今回の件では動画投稿者の情報を提示した正義の味方か、プラットフォームを悪用された被害者であるかのような扱いだ。

おまけに、日本のファスト映画がほぼほぼ消滅した今、僕のYouTubeトップページには海外のファスト映画がオススメとして表示されるようになった

なんで、観てない動画がファスト映画だって、分かるのか?

簡単だ。

日本のファスト映画と、タイトルの構文も平均的な動画時間も一緒だからだよ。センスの無い人間は洋の東西を問わない。

YouTubeくん、やっぱり一番クソ野郎なんじゃないかな。漫画村がクローズアップされ摘発されて久しいが、いまだに漫画本編が動画としてYouTubeにはアップロードされているし、彼らにそれらを摘発する気はさらさら無いようだ。死ね(直球)

 

過剰な自衛

最後に、パンチではなくビンタくらいを見舞ってやりたい関係者の紹介だ。

ファスト映画問題での摘発を受け、映画やアニメレビューや解説動画の投稿者が軒並みを一時的に自らの動画を視聴不可能にしていた。既にレビュー動画に戻ってきた人もいるし、まだ静観を決めている人もいるが、戻ってきた人の多くは、レビュー動画で使用する画像として本編や予告編で使われた実際のものではなく、投稿者自らが描いた絵を用いるようになったことだ。

それはやめた方がいい、と強く言うことはできないが、それはやめた方がいい。

ここ以外でも既に指摘されているし、レビューや解説動画の投稿者も重々承知のことであるが、そもそも著作権保護法において引用は、その規則を守る限りでは例外である。

www.bunka.go.jp

文化庁においても、それは説明されている。

 

「自衛は大事」と思うかもしれないが、「過剰な自衛」はまた話が別である。この過剰な自衛で、自作の絵を用いての解説がレビュアーの(一般認識としての)条件となってしまった場合、絵を描けない人間の意見の自由な発表の場は失われることになるし、そうなってはレビュー(意見)の多様性にも関わってくる。絵を描ける人間はみな同じ思考、では勿論ないが、絵を描ける人間は絵を描けない人間の思考を完全に代弁できず、その逆もまた然りである。

過剰な自衛には、同人誌即売会での同人誌やAVでのモザイクなど、誰が何の為にやっていて一体何に対してどんな効果があるのか全くわからないものを生んでしまった前科が、既にある。

勿論、自分の意見を発信するたびに逮捕や摘発といった危険に実際に晒されるのでは、割が悪すぎるし、そもそもそれは健全な表現の自由のある国家とは言い難い。なので、文化庁でもCODAでも何でもいいが、とにかくどこまでが引用でどこから違法性が高くなるのかをより明確に示してもらいたいものだ。これは、この国の文化的根幹にも関わることだと思う。

 

あと、蒸し返すけど、レビュアーの多くが元々映画のオチを重視しているのも気に喰わねえ。ビンタさせろ。

 

 

追記:クワイエットプレイス2のところで言及した「モデル読者」についてだが、Googleで「モデル読者」で検索すると「読者モデル」ばかり表示されて、Googleが人類に智恵をもたらさないことが分かったので、モデル読者がどんなものか多分一番わかりやすく解説している動画を置いておく。

www.nicovideo.jp

 

連邦軍の日2021 Tag der Bundeswehr 2021 auf YouTube

本当はもっと早く情報を出すつもりでしたが、個人的に色々と立て込んでいたために非常にギリギリになってしまいました。すみません。

 

今年もTag der Bundeswehr(「連邦軍の日」。以下、TdBw)はYouTubeチャンネルにおけるオンライン開催、デジタルTdBwになります。

 

https://www.bundeswehr.de/de/aktuelles/veranstaltungen-bundeswehr/tdbw-2021-tag-der-bundeswehr-2672804

ここからはTdBw2021特設ページ(上記リンク先)の訳です。

 

 

いまだ現地開催にあらず:TdBwにおいては、兵士と軍属はその能力を今年も再びネット上でのデジタル環境で配信します。6月12日11:00(訳注:中央ヨーロッパ時間における)からYouTubeチャンネルのBundeswehr Exklusiveでのライブ配信にて、心踊る展示やレポート、インタビューなど様々なコンテンツを提供します。

 

地雷除去車両Keilerで兵士たちが戦闘部隊のために経路を啓開し、連邦軍の爆発物処理班がその技量をお見せします。地雷除去車両が何か知ってますか?分からない?デジタルTdBwではそれについても沢山のことを体験することができます。

 

軍を体験しよう

主力戦車Leopard歩兵戦闘車両Pumaで、空軍のEurofighterと衛生部隊に支援された陸軍の他の兵士たちが共同演習を実施します。連邦軍が投入兵力とその機材で渡河をするといった、折りたたみ式浮橋での戦術架橋をお見せしましょう。

 

研究の最先端に

連邦軍は積極的な研究も行っていることを、装備情報技術および利用局と海軍がお見せします。TdBwのモットーである"Willkommen Neugier"(好奇心歓迎)とは、212A型潜水艦と研究航海用の調査船Planetへの乗船のことです。

 

Transall (訳注:C-160 トランザール)退役へ

おそらく、哀愁とも言うべきものがシュレスヴィヒ・ホルスタイン州のHorn空軍基地の第64空輸航空団の元へ訪れるでしょう。そこで、空軍はC-160に別れを告げます。50年以上の長きにわたって、この輸送機は数え切れない任務を誠実に果たしてきました。今日、それらはより近代的なA400Mによって代替されることになります。空軍とそのパイロットにとって、これは一つの時代の終焉となります。デジタルTdBwに参加し、兵士たちのC-160との別れに想いを馳せましょう。

 

任務における連邦軍

どのようなテーマと課題を連邦軍の兵士らが海外派兵において胸に抱いているかを知りたい人は、TdBwにおいて、その舞台裏を独占的に見ることができます。アフガニスタンリトアニアにおける、ドイツの派遣している分担兵力に向けて(訳注:「の視線」)です。また、VIPゲストとして防衛大臣連邦軍総監、そして連邦議会国防委員を予定しています。

 

デジタルフレンドリー

色彩と情報に富み、飽きさせませんが、去年と同様に今回もコロナのために完全デジタルです。魅力的なライブ映像とワクワクさせるバックグラウンドレポート、音楽体験、そして海軍のお笑い軍曹Schmidtらは、TdBwをデジタルでありながら、特別な結果を生んでくれるでしょう。そして、来年のTdBwでは軍は再び実際、かつ現地での「触れられる」展示になるはずです。

 

 

ーーー翻訳ここまでーーー

 

TdBw2021の開催は

6/12(土)

ドイツ時間1100時〜1345時

(日本時間では同日1800時〜2045時まで)です

 

www.youtube.com

上のリンクが開催場所のBundeswehr Exclusiveチャンネルです。

 

翻訳の感想

・Bundesamt für Ausrüstung, Informationstechnik und Nutzung der Bundeswehr: BAAINBwを「装備情報技術および利用局」と訳した。ググっても定訳が出てこなかったので暫定的だが意味は通じると思う。

・an Bordは英語で言うaboardだが、こういう地味に日本語にない副詞はいつも悩む。erfolgreich(英語で言うsucessfully)も悩む。

・Digitale Näheは直訳すると「デジタル近所」だが、流石にダサすぎるし意味がわからないので「デジタルフレンドリー」とした。

・お笑い軍曹シュミット:元々空軍出身のコメディアンHolger Müller氏によるAusbilder Schmid (軍事教官シュミット)というショーがあったので、今回は彼が海軍のお笑い軍曹になっての特別カムバックということらしい。Comedian Ausbilderをどう訳すべきかは悩んだ。ドイツ語の「コメディアン」はKomikerなので、「お笑いを管轄する軍曹」という意味かとも思ったが一語にまとまっていないので、おそらく普通に「コメディアン  シュミット軍曹」という意味ではあると思う。そうであるとは思うが、わかりやすいと思ってこうした。そもそも海軍の階級にFeldwebelは無く、相当する階級はBootsmann (NATO基準OR-6)である。

ドイツ語翻訳「世界最新の歩兵戦闘車輌!新型PUMA試験中」

www.youtube.com

 

以下引用

Modernster Schützenpanzer der Welt! Die neue PUMA-Version im Test

Der PUMA gehört zu den modernsten Schützenpanzer der Welt. Seit ein Paar Jahren in der Bundeswehr, wird er seitdem kontinuierlich getestet und verbessert. Die Grenadiertruppe muss für seine NATO-Bündnisverpflichtungen wie VJTF 2023 einsatzbereit sein. Die neueste Version des PUMA setzt einen Meilenstein, Schützenpanzer und Infanterist der Zukunft verbinden sich zum sogenannten "System Panzergrenadier". Es ist ein qualitativer Sprung für die Einsatzbereitschaft des Duetschen Heeres. Wie zeigen euch die drei wichtigsten Neuerungen des PUMAs: Führungssystem, Aufklärungssystem, MELLS-System.

 

Das neue Führungssystem ermöglicht Informationenaustausch in Echtzeit zwischen allen Beteiligten ob aufgesessen oder im abgesessenen Kampf -Fahrzeuge und Schützen sind ständig miteinander verbunden. Kommunikation funktioniert ganzheitlich.

 

Mark Buschhard Truppenführer

"Ich brauch mich nur noch reinzusetzen in das Fahzeug und bin über dieses Kabel direkt verbunden mit dem Kommandanten. Ich habe permanent eine Funkverbindung untereinander von den Schützen, sowie auch zum Fahrzeug. Wir können bessere Absprachen treffen und können über eine digitale Lagekarte auch feindliche Symbole setzen."

 

Ebenso optimiert sind die verschiedenen Sicht- und Aufklärungsmöglichkeiten, über die der PUMA verfügt.

 

Dominik Kappl Kommandant

"Eine weitere Neuerung bezüglich Optiken am Panzer ist auch die Rundumsicht verbessert worden. Der Kraftfahrer hat jetzt auch ein Wärmebildgerät, womit er bei Nacht gut unter Luke die Pantzer führen kann, sowie die Rundumsicht für den Kommandanten über die ganzen angebrachten Kameras außen am Panzer."

 

Matthias Miß Richtschütze

"Die Arbeitet erleichtert er mir in der Hinsicht, dass ich weiter in die Tiefe aufklären kann - jetzt auch mit den neuen Sichtmitteln die wir haben und jetzt auch eine weitere Zoomstufe dazubekommen haben: Wir können jetzt praktisch 20 fach in die Ferne aufklären."

 

Außerdem verbessert: die Kampfkraft. Neben der Hauptbewaffung mit Bordmaschinenkanone, kann der neue PUMA mit dem MELLS-System sogar Kampfpanzer zerstören.

 

(訳注: 話者が表示されないが、話し振りからおそらくDominik Kappl)

"Gut ist die 30mm Kanone mit ihrer Waffenreichweite von bis zu 3000 Metern, sowie beim neuen VJTF PUMA die MELLS angebracht wurde, ein Lenkflugkörper und wir damit Panzerabwehrstark sind auf bis zu 4000 Metern."

 

(訳注: Mark Buschhard)

"Das System selber legt den Grundstein für künftige Panzergrenadiereinheiten und bringt somit die Bundeswehr extrem voran."

 

Die Verbesserungen des neuen PUMA liegen klar auf der Hand. Die Version für VJTF wappnet unsere Soldatinnen und Soldaten auch in Zukunft bei der Erfüllung militärischer Bündnisverpflichtungen der Bundeswehr.

 

以下、全訳

 

世界最新の歩兵戦闘車両 新型PUMA試験中

 

PUMAは世界で最も先進的なIFVだ。連邦軍では2、3年前よりPUMAには絶え間ないテストと改良が行われている。機械化歩兵(Grenadiertruppe)は、VJTF 2023などのNATOにおける同盟義務のため、即応態勢である必要がある。PUMAの新型は1つのマイルストーンとなる。将来のIFVと歩兵は、いわゆる「機械化歩兵システム(System Panzergrenadier)」として互いに連結されるのだ。これは、ドイツ陸軍の即応性における質的な飛躍である。PUMAの3つの重要な改良点として、指揮システム、偵察システム、MELLSシステムが挙げられる。

 

この新型の指揮システムは、システムへの全接続者間におけるリアルタイムの情報交換を可能にする。車上、降車戦闘かにどうかにかかわらず、車両と射手は常に相互に結び付けられた状態になる。コミュニケーションが総体的に機能するのだ。

 

Mark Buschhard 部隊長

「私は車両に乗り込んでさえいればよく、このケーブルを通じて指揮官と直接接続されていることになります。私は、射手、そして同様に車両とも相互に持続的な無線接続を維持することになります。我々は、より良い打ち合わせを行うことができ、デジタル式の状況図の上に敵のシンボル(符号)を置くこともできます。」

 

同様にPUMAが持つそれぞれの視認・偵察能力も最適化されている。

 

Dominik Kappl 指揮官

「車両の光学(装置)に関する更なる改良点は、周囲への視界が改善されたことです。今は操縦手にはサーマルイメージャーを得たので、これで夜間もハッチから頭を出さなくても良好に車両を操縦できるようになり、また、車長の視界も車両の外側の最適化されたカメラにより同様のことが言えます」

 

Matthias Miß 砲手

「車内にいながら偵察できるという点で、仕事がとても軽減されます。現在、我々が有する、更なる拡大倍率を追加された新型の視認装置では、我々は便利な20倍の遠距離を偵察できます。」

 

更なる改良点として戦闘力が挙げられる。主兵装の車載機関砲の他に、MELLSシステムを用いる新型PUMAは戦車でさえ破壊できる。

 

(多分)Dominik Kappl

「30mm機関砲は3000mまでの良好な射程を有し、またこの新たなVJTF PUMAにはMELLSが取り付けられ、誘導弾と我々(訳注:射撃装置のユーザーとしての「我々」だと思われる)は4000mまでの対戦車戦闘力を持つことになります。」

 

(Mark Buschhard)

「このシステムそのものが、将来の機械化歩兵部隊のための基礎であり、また連邦軍を大きく前進させることになります。」

 

新型PUMAの改善は明らかだ。VJTF向けのこのバージョンは、連邦軍の兵士たちが将来、同盟義務遂行の際に装備することとなる。

 

 

翻訳ここまで。

 

 

翻訳を完走した完走:

要は、前回翻訳した、TOWの引退に伴い新たに導入した対戦車ミサイルMELLS(SPIKE LR)をPUMAにも積んだという話。

前回くらい短い内容だと思って翻訳始めたら文章量は倍くらいあって、ブログに全文を書き直すのが面倒臭くて翻訳終わってから一週間くらい漬けてた。

連邦軍の公式動画の翻訳の際には、基本的に字幕機能を使って公式が付けている字幕を参考に翻訳するが、今回のは兵士が実際に喋っていることと字幕の乖離が割と多く、さらにインタビュイーの一人であるDominik Kappl氏の発音と文法がアレで、彼の話しているパートはかなり意訳した。

VJTFは、Very High Readiness Joint Taskforce(高高度即応統合任務部隊)の略であり、NATO即応部隊の一つ。

ドイツ語翻訳「TOW 一時代の終焉」

www.youtube.com

 

以下引用

Truppenübungsplatz Baumholder

Schießbahn 11

 

Markus Meyer Regimentskommandeur

"Hier ist heute das letzte Schießen des Fallschirmjägerregiments 26 mit dem Panzerabwehrraketensystem TOW. Ein System, das wir 1974 eingeführt haben in die Bundeswehr und mit dem ich 1996 das allererste mal als Fahnenjunker geschossen habe. Deswegen ist es für mich schon ein sehr emotionaler Tag. Das neue System, das wir jetzt bekommen, die MELLS, ist sehr gut, sehr leistungsfähig und wir freuen uns schon, dass wir darauf umgerüstet werden, aber so ein kleines bisschen hängt das Herz noch am alten System, das gibt man nicht so ganz einfach her."

 

Das TOW Lenkflugkörper wird vom Wiesel aus abgeschossen

Der Kommandant nimmt das Ziel ins Visier

Der feindliche Panzer wird erfolgreich bekämpft

Der TOW Waffensystem war fast ein halbes Jahrhundert an der Seite des Fallschirmjägerregiments 26

 

以下全訳

 

Baumholder演習場

射撃場11

 

Markus Meyer連隊指揮官

「今日これが第26降下猟兵連隊による対戦車防御ロケットシステムTOWの最後の射撃になります。我々が1974年に連邦軍に導入し、また私が1996年に士官候補生として初めて射撃したシステムです。それゆえに私にとってはかなり感動的な日ですね。我々が現在受け取っている新たなシステム、MELLSはとても良好で、高性能であり、それとの入れ替えを楽しみにはしていますが、あとほんの少しだけこの古いシステムをまだ手元に置き、そう易々と明け渡せませんよ。」

 

TOW誘導弾はヴィーゼルから発射される

車長は照準装置に目標を捉え

敵戦車は無事制圧された

TOW武器システムは約半世紀にわたって第26降下猟兵連隊と共にあった。

 

 

翻訳ここまで

 

MELLS: Mehrrollenfähiges leichtes Lenkflugkörper System(多目的軽量誘導弾システム)の略。イスラエルのラファエル製SPIKE対戦車ミサイル

第26降下猟兵連隊: 第31降下猟兵連隊と共に第1空挺旅団(Luftlandebrigade 1)を構成する。本部はZweibrücken

 

 

翻訳の感想:

これくらい短い文章だと手軽に翻訳できて良い。

インタビューを受ける指揮官のdie MELLS ist sehr gutという小学生並みの感想が良い。

TOWは「テーオーヴェー」と読むがMELLSは「メルス」と読むのか…。