and I'll believe in you until the day I die.

映画とミリタリについて書かなかったり、たまに書いたりする。ドイツでネギとニンニクを食べ続ける実験をしている。

いまさらターミネーターの話

次は、最近読み終わったスターウォーズの小説の感想でも書いていきたいですね

 

 

 

1億5000万年前に書いた前回の記事の締めの言葉は捨て置き、ターミネーターシリーズの話をしよう。

 

本当はスターウォーズ小説の話もあるし、「スカイウォーカーの夜明け」で禿げた話もしたいし、最近一番の良作と感じた「ジョジョラビット」の話もしたいけど、真面目に文章を書こうとするとpagesに箇条書きを書いて満足してしまう癖がありまして。だったら、先日ツイッターにポツポツとまとめて呟いたターミネーターの話をまとめた方ままだ筆が進む。

 

 

だからターミネーターの話をしよう

 

 

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最新作「ターミネーター ダークフェイト」は帰国時に日本で観ました。

「ニューフェイト」という邦題ですが、結果から言って本家が主役を交代させた以外に特に新しい運命を切り開くつもりはさらさら(サラコナーだけに)無いようなので、ダークフェイトの方がいろんな意味で実情に合っているので、ここではそう呼ばせてもらいましょう。

 

「ダークフェイト」の予告編やら何やらが出た時や公開直前に、ツイッターの僕のTLは新しいターミネーターの話題で(割と)盛り上がっていました。

 

リンダハミルトンが帰ってくる、T2以降の正統続編、ジョン抹殺後のターミネーターの存在…

 

基本的には「この設定なら今作は期待できる!」みたいな空気でした。

 

うん!この流れ!

 

ジェニシスの時にも見た!!!

 

前作「ターミネーター ジェニシス」の時も、T1の冒頭の再現度の高さやら複雑に絡み合う因果の話で前評判というか序盤の話に大いに盛り上がった。

んで、蓋を開けてみれば、盛り上がる序盤に、いつも通りの中盤に、尻すぼみな終盤。

 

………「ダークフェイト」も同じようなもんだったね。

 

結局息子を殺されターミネーターハンターとして帰ってきたリンダハミルトンや使命を終えてしまって存在意義を失ったシュワルツネッガー。この辺は盛り上がる。

 

でも、シュワちゃんが出てきてからはT3以降お決まりになった「ファミリーガイ」のチキンファイトみたいな殴り合いがひたすら続き(というか、本当にそれが元ネタじゃないかとすら思う。気になる人はFamily Guy Epic Chicken Fightでググってね)

 

最後は良くわからんもんで決着をつけて終わり!閉廷!!!

 

スッキリしねーーーーー!!!!!

 

 

どこからツッコんでいけばいいのか…

 

 

まず、全体的な話。

ジョンやカイルやT−800の存在を新世代にバトンタッチし、スカイネットに代わり未来に人類と戦うことになる新AI: リージョンや人類抵抗軍の新リーダーとなるダニー、新たなるターミネーターシリーズ: Revシリーズを登場させたのはいいが…いや、良くないか。

 

構図がこれっぽっちも変わってないじゃん!

 

役者をただ若い連中に交代させただけで同じ構図を組むって、マジでシリーズの「延命措置」やんけ。

「正統」って同じ構図の焼き回しをしていいって意味じゃねーぞ。「バタリアン」シリーズかよ。

 

 

はい、そして新たなるターミネーター、Rev9の話。

正直、ターミネーター骨格を液体金属で覆うという発想がT3から一向に進歩していない。今回は液体金属とスケルトンが別々に動けるというだけ。

というか敵はスカイネットじゃなくなったのに、何でおんなじようなユニットを送り込んでくるんだ。

リージョンは人類抹殺の過程でネットにアップロードされた前作までのシリーズを学習したんか?

 

もう何でもいいが、とにかく既にアイディアの枯渇が目に見えている。

 

 

そもそも、ターミネーターシリーズにおいて幾度となく描かれている”未来戦争”のシーンは、もう賞味期限切れだ。

今は機械によって効率化が実現した2010年代や20年代であって、T1(1984)やT2(1991)の時恐ろしく見えた金属の骨格がレーザー銃を持って歩き回るという光景そのものが、限りなく非効率的で、もう”機械による殺戮”という絶望感や説得力を持っていない。

真に効率化され熱も放射線も恐れない機械軍団が所詮タンパク質の塊である人類と本当に戦争をしたらどんな恐ろしいことになるか、という描き方については、正直2003年の「アニマトリクス」の中の「セカンドルネッサンス」で既に最適な描き方をされてしまっている。

正直どんなに進歩したVFXターミネーターの未来戦争を描きなおしたところで、T型フォードの新車でしかない。てか、2003年って1ヶ月後にはT3公開だぞ。この時点でもう負けてる。

 

もちろん、「ダークフェイト」におけるその賞味期限の切れた未来戦争シーンはスカイネットしか知らないサラの抱くイメージなのであって、新たなるカイルリースポジであるグレースの回想という形でリージョンと人類の未来戦争のイメージも描かれている。

が、これはこれで問題がある。

今度はリージョンの繰り出すRev7が強過ぎて、未来戦争で人類抵抗軍が勝ちそうなイメージ、正確にいうなら今作のジョンコナーポジションであるダニーが抵抗軍のリーダーになったところで人類が勝てるというイメージが全然湧かないのである。

ガッツのある女性?

さっき、ガッツだのカリスマだのでどうにかなるレベルじゃないもん観せてくれちゃったろうがい!

これだったら、「マーキュリーライジング」みたいにコンピューターに強い自閉症の子供が狙われる方が説得力がある。

 

 

そして、決着の付け方の話。

もう何あれ? T3の方がマシだって初めて思ったぞ。

傑作であったT1やT2では、破壊不可能とも思われた未来技術の粋であるターミネーターを現代の技術でどうやって破壊するのかという盛り上がりがあったのに対して、ダークフェイトではいきなり出てきたよく分からん作用をする未来アイテムでもうほっとけば死にそうなほど弱ったRev9を正直よく分からん方法で始末した。その過程でグレースとT−800は死んだ。

 

スッキリしねーーーー!!!!

 

T3ですら決着に用いるターミネーターの水素電池の説明をしっかりとしたビジュアルで前フリしてたぞ。

ていうか、やってることだけならT3の焼き回しじゃねぇか。T3の存在を否定して、T3と同じところに着地するの、もうこれ分かんねぇな。

 

 

最後に細かいところ

色んなところに新規性が無い。

 

今作で送り込まれてきたグレースの人間でありながらパワフルな戦い方というは面白いが、エンハンスドヒューマン自体は「サルベーション」でやったネタを人間寄りにしただけ。

 

人間的な感情が芽生えたターミネーターは、そもそもT2でやってるし、更にサラコナーズクロニクルで相当に掘り下げた。状況はかなり違うが、役目を終えたターミネーターがどうしているのか、というのもサラコナーズクロニクルでもうやってる。

 

 

ここまで色々と愚痴を書いてきたが、正直ターミネーターシリーズはT2以降も好きなところがいっぱいある。

 

「サルベーション」で未来戦争世代に突入した設定も良かったと思うし、「ジェニシス」で過去改変をやりまくった結果複数の世界線が混在するというのも他シリーズへのリスペクトを感じつつ説得力を持たせていて良かった。

「ダークフェイト」も再プログラムした〜からの脱却としてエンハンスドヒューマンはこれからのバイオニックの時代として悪くはないし、未来を変えたんだから敵AIも変わっているというのは正しいと思う。

でも、製作陣は今までのシリーズとの関係や舞台設定に力を割き過ぎていて、肝心のターミネーターとのバトルや作品のしまい方について詰めが甘過ぎないか。

 

ターミネーター」シリーズである前に、1つの映画作品としての完成度を高めてほしい。

 

もし次があるのなら、リブート?リファイン?とか、とりあえずナンバリングの話はやめて、「ロボコップ」くらい新しい視点で描きなおしてもいいと思う。

 

 

 

 

 

…最初は丁寧にも敬体で書いていたのに、途中から興奮して常体になってしまいましたね。

これで証明できるでしょう。

 

□私はロボットではありません。